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by imao001

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映評:レオニー

なかなか面白い映画だったのでちょっと書き残しておきます。倍賞美津子主演の「ユキエ」など、女性を主人公に地味なテーマもしっとり仕上げる(という勝手な印象を持ってます)松井久子監督の新作、タイトルは「レオニー」です。

物語の主人公はタイトルにあるレオニー・ギルモア嬢。この方あの著名な彫刻家イサム・ノグチの母親で、イサム・ノグチとともにアメリカ、そして日本で厳しい時代を生き抜いてきた人物。物語は日本人の子を宿したレオニーが、潔く自信の選んだ運命を引き受け、自分らしく生きていく姿を追った人物史です。あまり著名でない外国の人物譚は興行的にも厳しいのでしょうが、観に行ったときは休日ということもあってか結構お客さんが入ってました。

前置きはさておき中身の話へといきますと、舞台は20世紀初頭のニューヨーク。キャリアウーマンの先駆け的な印象の主人公、レオニーは、作家の野口米次郎(イサム・ノグチの父)と出会う。やがて、二人は愛し合うようになりレオニーは、献身的に彼を支え、仕事面でも彼は注目されるべき才能だ、と様々な出版社に彼をプロデュースしていく。野口米次郎との厳しくも信念を持った生活、献身的に支えるその姿は、当時のニューヨークの雰囲気を蘇らせたかのような雰囲気(もちろんその時代のことはよく知りませんが)で、なかなか迫力ある時代描写です。そんななか彼女は妊娠、イサム・ノグチを宿すのですが、米次郎は突然日本へ帰国、 一人残されたレオニーは、未婚のまま子どもを産む決意をし、波乱の人生を歩み始めます。

一旦映画が始まると、一時期のジェームズ・アイボリーのごとく巧みな陰影と色彩で映画にググイッと惹きつけられます。これだけでも十分見る価値はありますが、なかなかリアリスティックな描写や美術に“固いアート映画”と感じるかもしれませんが、そのへんは地味ですが固い役者のアンサンブルで吹き飛ばしてくれます。ストーリーも実際のレオニーの人生が波乱に満ちていたらしく、引き込まれるエピソードが積み重なり結構感情移入しますし、レオニー役のエミリー・モーティマーの芝居もかなりイケテます。また、印象的に演出されている勅使川原三郎(この人のダンスは最高です!)や中村獅童(いきなりの正月公演決定。)の姿も結構好感が持てます。忙しい最中観に行く映画は外すと結構ショックが大きいですが、この映画は充分に満足して劇場を出れましたので、ぜひ見に行ってみることをおすすめします。

身勝手男を演じた中村獅童が「女性の視線がキツい」と苦笑い

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by imao001 | 2010-12-11 18:32 | レビュー

さよなら歌舞伎座

このブログを更新している本日、四代目にあたる現在の歌舞伎座が最後の興行の千秋楽を迎えました。30日には特別興行があるとはいえ、実質的にいまの歌舞伎座の幕が降ろされる日です。思えば東京に出てきてアート系の大学なんぞに入らなければ歌舞伎と出会うこともなかったように思います。大学時代はお金が無いので幕見席(千数百円ほどで一幕分の演目が四階席で見られる)などによく行き、小劇場などを観るのと同じ感覚で歌舞伎に接していました。また文楽狂言なども(財布を気にしながらも)積極的に見ていた記憶があります。歌舞伎に限らず文楽や能、狂言にも言えることですが、普通に暮らしていると古典芸能に関心を寄せることなど、よほど特別な機会がない限り無い様に思います。が、がしかし、もしこのブログをご覧いただいた方で歌舞伎を観たことがないという方、是非“歌舞伎ぐらいは”日本人なら観ておいて下さい。今回の興行、私も最後に良い思い出をと幕見席で鑑賞しました。俳優陣もこれ以上にないぐらいのオールスターキャスト、内容も最後の演目にふさわしい演目が並んでいました。またそれを見に来た観客も、今の歌舞伎座との別れを惜しむ人々に混じって、海外から来た旅行者や日本在住と思しき外国の人が立ち見でもいいからと見入っていました。大学の頃は私も幕見でばかり見てたので役者も誰だかわからず、内容の把握もおぼつかない中でじっと見ていた記憶があります。しかし今思うと良い演目はしっかりと胸に残ています。確かに学生時代に観た歌舞伎の演目の中には忘れられない舞台が幾つもありました。私でさえ十分に楽しめる歌舞伎なんですから、好奇心旺盛な本ブログの読者の方々ならもっと楽しめることと思います。海外の人々も関心を寄せる“歌舞伎”というこの国の文化を知らず、なんとなく日本人として漠然と過ごしてしまうのも残念に思えます。今の形の歌舞伎座はなくなってしまいますが、歌舞伎は年中、国内のどこかで演じられています。今の歌舞伎座がなくなるのは残念ですが、これを機に歌舞伎を知り、見に行くきっかけになってもらえればと思います。

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by imao001 | 2010-04-28 18:02 | 日記

劇評「羊と兵隊」

先日、岩松了演出の「羊と兵隊」を見た。
個人的なことだが本多劇場に足を運ぶのは大学時代以来およそ15年ぶりくらいになる。大学時代は下北にも足繁く通ったし、いろんな街で芝居も上演した。ところが卒業後は芝居から遠ざかっていたので、15年という月日に驚きはしたものの、それだけ足が遠のいていたとしても当然といえば当然だった。

さて、感傷に浸っていないで肝心のお芝居の中身の方である。
キャストに友人が出ている時は、普段は友人経由でチケットを取るのが普通なのだが、今回は観に行けるかどうか微妙なスケジュールだったのと、岩松演出にあまり興味がなかったこともあり、当初行かないつもりだった。ところが今回は別の友人経由でチケットが流れてきて、その上、楽日のマチネだったこともあり、“あら、お得だわ!”と、主婦的お得感を感じてしまい、やっぱり観に行くことにした。

内容の方ではあるが、初めての岩松作品ではあったものの台本による抵抗感などはなく楽しめた。
また俳優の演技やアンサンブルに関しても、最近見た小劇場の芝居の中で文句なく一級品だった。
しかしながら芝居が終わってみると何か腑に落ちない感があった。というより、腑に落ちない感で他の良さが全部失われたと思うほど。それはなぜか?帰りの食堂でよくよく考えるに、今、このご時世にチェーホフのごとき陰々滅々たる芝居を、それも時代背景を戦時中においてやる意味はあるのかが不思議だった。嗅覚鋭く、観客を放置してでも自身の選んだ台本、演出にこだわる演出家のわりには、今、演劇の世界で何が求められ、何を見せるべきかということに無神経のように思う。
芝居のスタイルや、形、演出の奇抜さありきで、つまらないお芝居が多い中、いわゆる新劇的な演技で、物語ることを超越しよう、物語に挑戦しようという気持ちは分からないではないのだが…
それにしてもとにかく『今見るべきお芝居ではない』というか、『今見ても面白いと思えないお芝居』だった。5年前、もしくは人々のたがが外れたバブル的な時代だったら楽しめたように思う。
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by imao001 | 2008-07-31 11:06 | レビュー