映像制作/USTREAM・IP配信会社のジーマ代表が、徒然なるままに書き綴る とりとめもない出来事、映像、映画業界のお話 http://ji-ma.tv/ http://ji-ma.jp/


by imao001

映評:「わたし出すわ」

「間宮兄弟」の、というよりも我々の世代は「家族ゲーム」の、と言う方が通りがいい森田芳光監督の「(ハル)」以来12年ぶりのオリジナル脚本・最新作「わたし出すわ」

ストーリーはいたってシンプル。東京から故郷へと戻ってきた主人公がなぜゆえかかなりの大金を持っており、その大金を惜しげもなく友人の夢や希望の実現のため差し出し続ける。主人公の目的はいったい何なのか… という、ちょっと聞くとミステリアスな展開を想像してしまうストーリー。

心地よい導入部の展開だけでなく、主人公の名前が山吹摩耶(マヤ)という雰囲気ある名前で、かつ演じるのが小雪とくれば、観客はもうそのミステリアスさにすんなり感情移入できる。その後も謎めく摩耶の行動に、観客はある種“快感”にも似たはまり具合を覚え、そのまま『だまされてもイイや…』との感情で映画に身を任せる。この映画は感覚的に言ってしまうとそういう映画なのだが、鑑賞後の感覚は非常に納得できる、人間に大事なものは何か?ということを再確認させる映画である。この映画で森田監督が描いているのは、地球上の他の動物にはない、人間だけが与えられた大事ないくつかのものを表現している様に思う。それは“夢”であったり、“お金”であったり、“言葉”であったり… 「わたし出すわ」は、人間だけが自由に扱うことを許されたこれらのものをめぐっても、決してイヤらしくなく、温かく物語が進行する。舞台は北海道なのに、とても温かく、見終わった後は心地よい安堵感の中、劇場をあとに出来る。それはこの映画が単なる“お金”にまつわるヒューマンドラマであるだけでなく、(あまりにも陳腐な物言いだが)お金では買えない“幸せ”にまつわるヒューマンドラマだからである。最近では理想すらかたることがない映画も多い中、森田監督は「(ハル)」でも見せた、デジタルではない独特の感性で現代を描写し続けているように思う。

c0162328_2334911.jpg
[PR]
by imao001 | 2009-11-30 20:26 | レビュー