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by imao001

映評:スラムドッグ$ミリオネア

※注意! ネタバレはしませんが、大まかなストーリーが記述されてます

ダニー・ボイル監督 久々の痛快作です。アカデミー賞8冠を受賞するほどの映画って本当に“普通じゃない”、と改めて監督の手腕に感心しました。

映画はインドのスラム街を縦横無尽に駆け巡るサリームとジャマールの兄弟の姿から始まるのですが、映画のテイストを形作る撮影のダイナミズム、簡単に言ってしまえば疾走感がここからすでに溢れていて、観客を魅了します。まさにつかみはOK!といった感じ。また、今となっては時間軸を逆転させたり複雑にする演出、編集というのはあまり珍しくありませんが、この映画にとって時間軸の交差は非常にいい演出となっています。おそらく最初は脚本をひとつのストーリーで書いて一度分解、再構成してエピソードなどを詰めていくといった作業を行ったと思いますが、なかなか歯切れが良い編集でかなりリズムよく繋がれています。映画全体の編集リズムは申し分ないくらいです。ただ今回の編集はいつものボイル組のマサヒロ・ヒラクボ(こんなところでも日本人は活躍しています!)ではないのが不思議でしたが。

ストーリーは、スラム街に生まれ育ち、厳しい生活環境の中 生き延びてきた青年ジャマールはある時、人気番組「クイズ$ミリオネア」の出演チャンスを得る。番組はつつがなく進行し、人生の中で得てきた厳しい経験や知識であと1問の正解で最高賞金額2000万ルピーを手にできるというところまでたどり着く。しかしその2000万ルピーへの挑戦を前に放送時間がタイムリミット、翌日へと持ち越される。しかし最後の1問を残し放送局を出ようとしたところ、ジャマールは不正を疑われ警察へと連行される。警察ではスラム育ちのお前みたいなやつがすんなり正解できるはずがないと拷問を受けるものの、ジャマールは自分はなぜ正解できたかを自身の経験を話すことで説明していく。そしてなぜ彼が「クイズ$ミリオネア」に出演しようと思ったかも同時に明かされていく… 演出上、時間軸が逆転したり、反芻したりで巧みに現在と過去が交差するのですが話としては大まかにこんな感じです。

30代のシネフィル(いわゆる熱狂的な映画ファンのことです)はこのダニー・ボイルという監督を少なからず期待してこれまで見てきたと思います。『シャロウ・グレイブ』『トレインスポッティング』のストーリーの巧みさに映像、編集の面白さを加味させ、まさに“ダニー・ボイルならでは”の映像のオルタナ・ロックワールドを構築してました。それは出身国イギリスという環境ももちろんあったのでしょうが、かのRSC(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)でも演出しているぐらいですので、その演出センスは非常に評価されていたのでしょう。そこに輪をかけ映画『トレインスポッティング』の成功ですからハリウッド進出も確かに問題なかったとおもいます。ただ個人的に思うにその後が非常に悪かったかな、と… 『普通じゃない』を撮ったはいいが観客に普通だね、と思われてしまったり、『ザ・ビーチ』にしても、やはりハリウッドという枠組みでは奔放な個性は受け止められなかったみたいですし。その後、撮っても撮っても思うような成果(=ヒット)が得られないということもあって本人もハリウッドという世界に飽き飽きしていたんじゃないでしょうか。そこでボイルが見つけた新天地が“ボリウッド”、世界一の映画産出国インドです。おそらく水が合ったんじゃないかと思いますが、映画全体に、監督・スタッフ・キャストの生き生きとした躍動感、2時間を見せきる疾走感があります。貧困の中生まれ育った主人公が、自分の夢のために努力し、時には狡猾に、時にはまっすぐに生き延びる、そんな生き様が最終的には自身の信じる夢へと繋がってくるという成り上がり的なストーリーだけれども、誰もが共感できる純粋なストリーであり、ラブストーリーも合わさって監督 ダニー・ボイルの復活を告げる良い映画でした。まだご覧になってない方は是非!、と超オススメの映画でした。

ちなみに劇場では期待の映画「MW(ムウ)」の大きなスタンディーが飾ってありました。
早くみたいですねぇ。
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「スラムドッグ$ミリオネア」オフィシャルサイト

『スラムドッグ』オスカー効果で都会中心にヒット

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by imao001 | 2009-05-19 21:46 | レビュー