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by imao001

映評:こうのとりたちずさんで

先日、新文芸座にてテオ・アンゲロプロス監督のオールナイト上映をやっていたので足を運びました。個人的には現在現役の監督では最も尊敬する監督でもあるので、多少の疲れも構わず3本、7時間以上の上映時間を堪能してきました。ちなみに同時上映は「狩人」「蜂の旅人」の2本です。こちらも近日中にアップ予定、ご期待ください。

さて、「こうのとりたちずさんで」はアンゲロプロス監督の長編第9作。弊社には「こうのとりたちずさんで」フランス版B倍以上のビッグサイズポスターがあるほど心底好きな作品でもあります。東京に出てきてようやく映画の表現が分かりかけてきた頃に出会い、鑑賞後その深い映像表現に言葉をなくした事を今もはっきり覚えています。それほど田舎もんの私にとっては衝撃的な映画でした。

物語はというと、難民問題を取材に来た主人公のTVディレクター、アレクサンドロスが国境近くの村を取材するうち、死んだと思われていた政治家を発見。その政治家と彼の別れた妻、難民の少女などの人物が絡み合い、そうした中に巧みに難民や国境問題が描き出されるという、政治背景を知らないとやや難解に思える内容です。ギリシャは当時ユーゴ、アルバニア、ブルガリア、トルコ等と国境の国々が紛争や国境問題を抱えていたため、難民問題も盛んに話題になっていただろうし、政治をネタに映画を作ることの多い監督だけにギリシャ現代史のひとつとして撮影されたんだろうなぁと思います。しかし“映画は物語を追うだけでなくとも純粋にその根幹は伝わる”と言えばいいのでしょうか、この映画、アンゲロプロス監督の映像詩に体を任せているだけで容易にメッセージが伝わってくるのです。共同脚本がトニーノ・グエッラだったり、音楽がエレニ・カラインドルーといわゆるアンゲロプロス組で固められていることも完成度が高い要因のひとつでしょう。是非ご覧頂くことをお勧めします(といっても劇場で見れる機会は数年に1度程度ですが…)。

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こちらはパルムドール作品「永遠と一日」紹介です
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by imao001 | 2009-03-19 22:49 | レビュー