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by imao001

映評:PARIS

今回は三連続になってしまいましたが映画の感想。映画は「PARIS」
関東では渋谷のBunkamura ル・シネマで現在上映中です。

ストーリーは心臓病を患う元ダンサー、ピエールと、その姉でソーシャルワーカーとして働きながら3人の子供を育てているエリーズ、年甲斐もなく学生に恋をする大学講師、その弟の建築家、ピエールの向かいに住む美人の女学生、市場で働く元夫婦のジャンとカロリーヌ、そして彼らを取り巻く市場の人たち等々、様々な職業、地位、状況の人のパリでの生活を描いている。とりとめのない日々の生活がテンポよい群像劇として映し出されていて見ていて心地よい一本です。

“とりとめもない生活”と書いてしまいましたが、人から見ればつまらない生活に見えても当人にとっては一瞬一瞬を生きている大切な時間… そんな当たり前のことなのだけれど自分も含めおそらく多くの方々がついつい惰性で、無為に生きていることが多いんじゃないかなぁと思います。それだけにこの映画には考えさせられることも多く、個人的な経験も投影されて深く感動しました。特に心臓病を患う元ダンサーが映画の中での役割としては中心的なのですが、彼は“生きる”ということに対し日々を静かに過ごすことを選択します。確かに病気の治療方法が心臓移植の提供者を待つしかないとはいえ、人間ついついあがいてしまうだろうから、彼のような状況でありながら、いま生きていることに感謝するというか、味わいながら今という時間を生きていることに言いようのない感情を持ってしまう。応援だったり、共感だったり、時に反発だったり…

監督のセドリック・クラピッシュ監督については実はかつては大して興味がない監督だったのですが「猫が行方不明」あたりから親友が激賞するのでよく見に行っていたなぁ。ただフランソワ・オゾン監督同様なぜか好きになるきっかけの作品がないまま見ていた感じがあります。決して映画の技巧的にも作家性でもさりとて気になるところはないのに特別好きになることはなかったのですが、おそらくこの作品で、これ以降彼の映画が公開されれば必ず見るであろう大好きな監督の一人になりました。

また、この映画の中で特筆すべきはソーシャルワーカーのエリーズを演じるジュリエット・ビノシュ。3人の子持ち、という設定の時点で私の世代の人はおそらく年月の過ぎ行く速さを感じるのではないでしょうか。だって「ポンヌフ」とか「トリコロール」ではすばらしい輝きを放っていた女優さんです。そんな美女がこの映画では“子持ち”で“シングルマザー”そして“ソーシャルワーカー”という完全なる“おばさん設定”だから妙に「時代はすぎていくんだな…」とさびしく考えさせられますよ、ホントに。映画ではもう若くないと塞ぎがちの姉にピエールがかける言葉「生きているんだ。人生を謳歌しなければ…」。変わっていくビノシュの表情同様に自分のなかでも人生を精一杯生きようという決意みたいなものがあふれてくるのを感じました。これぞ映画の楽しみです。

ちなみにこれポスターとかチラシとかアートディレクションが個人的にとても好きです。
最近いけてるコンセプトをした映画のアートディレクションがなかったのでこれにも非常に満足です。

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映画「PARIS」オフィシャルページ

PARIS (パリ)
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by imao001 | 2008-12-28 14:55 | レビュー